君に Ⅰ
「あ。加藤さんだ。」
「今度はだまされねぞ。」
「そうか。好きな子がすぐ近くにいてもそうやって離れちゃうんだね。」
「どうせ、そうやって俺をだまそうとするんだろ。」
「まあいいよ。僕はすぐ助けるべきだと思うけどね。」
「は?」
俺はあまりにも気になって、瞬が見ているほうを見る。
すると、女子たちに卵を投げつけられていた。
もちろん投げているほうは笑っている。
その中心に、調べた顔があった。
「おい、葵!」
後ろで瞬の声がするが、無視して走る。