君に Ⅰ

すると、卵を投げていた女子たちが俺を見て騒ぎ出す。


「きゃーーー!!葵様!!」

「どうしてこちらにー!!」


「あ、葵様!!」


嬉しそうな顔をしている人の中に、1人、調べた顔がひとつ。



りこだった。


りこは、何も知らないというような顔で俺に笑顔を向けてくる。


「何やってんだ!!」って叫ぼうと思ったとき、舞歌が俺のほうを見る。


すると、隣にいた女の子に、「行こ」と言って、向こうのほうに行ってしまった。




このとき、俺の周りの時が止まったようだった。


周りで騒いでる女子たちがいるのは分かっていても、その声が聞こえなくなるくらいショックだった。


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