ぴあす
「誰、ソイツ」
単刀直入に投げかけられた言葉。
確実に、わたしへ向けられた言葉。
や、やっぱりまずかったよね…
身体から変な汗が出て来るのが分かった。
「んーとね、芸能科の友達♪」
杏奈ちゃんから、わたしへ視線が移る。
「……っ」
刺すような鋭い視線。
それでいて、なんだか痺れそうな感覚に陥る。
「え、えっと…その…」
「…知らねぇからな」
その言葉の意味を、わたしは理解できるはずがなかった。
溜め息を吐いて去っていった、要と呼ばれた彼。
わたしの不安は募るばかり。