ぴあす
校舎には、パンフレットを見たことと、入試の時に訪れたくらい。
入試の日は、雪が降っていてあまり印象に残っていなかった。
改めて見た立派な校舎に、わたしは息をのんだ。
「あれ…
わたしより早い人なんているんだ」
後ろから聞こえた声に振り返った。
「やっば〜。
見られちゃった?」
「…っ」
目の前に居るのは、まるで人形のような女性だった。
透き通る肌、大きな瞳、長い栗色の髪をなびかせ、“どーしよう”と言葉とは裏腹に間伸びした声の女性。
「あー!」
彼女はわたしを見て目を丸くし、すぐにその目を細めた。
女のわたしが見惚れるくらい、なんともかわいい女性。
「そのリボンさ〜」
「へ?リボン?」
意外なものを指摘され、慌ててリボンに目を移した。