抗えない運命(さだめ)【TABOO】
歴史なんかに興味はないのに、なぜか偶然手に取った一冊。
初めて表紙を開いた時、驚いた。

著者の写真の美青年ぶりに息を呑んでしまった。

着物姿で細身の、優しげな表情のモノクロ写真。
あれ以来、見るたびにそのノスタルジックな視線に心を奪われてしまう。

素敵な人。
写真相手にときめくなんて恥ずかしいけど。
誰にも言えない密かな愉しみ。

今日もまた会えたね。あたしの秘密の恋人さん。
そう心の中で話しかけると、写真の彼が微笑んだような気がした。

その日の夜。
やけに鮮明な夢を見た。

写真の彼が死の床に伏している。
もはや長くないのが一目で分かる。
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