気づいてよ…
「え…奏くんの彼女?」
さっき俺に告白してきた女子が目を丸くしている。
できれば“奏くん”って呼ばないで欲しい。
美羽と梨乃にだけ呼ばれたい。
「ねぇ!どうなの?奏くんの彼女?」
甘えた声で俺の腕を振り回してる。
「美都は俺の姉貴だよ」
それだけ言って腕を振りほどいた。
でも今の会話…前にも誰かとしたような気がする。
「奏!行くよ!」
廊下から美都が叫んだ。
「うん!ちょっと待って!」
俺はそう叫んでさっきの女子を見る。
「俺には本気で好きな奴がいるから誰とも付き合えない」
それだけ言って美都を追いかけた。