気づいてよ…
美都が受験したのは、桜の家の最寄り駅から電車で2時間の所にある大学。
高校を卒業したら1人暮らしをしないといけない。
学費が高い所は大変だから“奨学生入試”を受験した。
「はぁ…」
電車に揺られている間、ずっとため息をついている美都。
そんなだと車酔いが…。
「なんか気持ち悪い…」
ほら…言わんこっちゃない。
美都は鞄から酔い止めの薬を出して口に含んだ。
「…奏?」
窓の外を見たままで美都は言った。
「お父さん…どうしてるか知ってる?」
俺もずっと気になっていた。
母さんにも連絡する勇気がなくて、ずっと誰とも連絡をとってない。