気づいてよ…
「奏は体育関係?」
拓哉が俺の顔を覗きこんだ。
俺は少し考えて口を開く。
「陸上は好きだけど、仕事にはしたくない。仕事にしたら心から楽しむだけでは駄目な気がする」
みんなは俺の言葉に頷いた。
きっとみんな考えてることは同じ。
陸上は好き。
でも、仕事にしたら“好き”だけではやっていけない。
“プロ”ってそういう世界なんだ。
「俺たちって一応…受験生なんだよなぁ」
拓海がため息をつきながら言った。
誰もが1度は経験する悩み。
就職か進学か、将来何をするのか。
高校3年生が背負うには、あまりにも重い荷物。