気づいてよ…
香枝
卒業式から2日経った今日は、荷物を片付けている。
更に2日後にはここにはいない。
新しい場所に行くんだ。
たった2年間だったけど、ここは本当の家みたいだった。
「奏…ちょっと良いかな?」
唯一同い年の子、香枝(kae)。
部活引退した頃くらいから、やっと話すようになって、今では友達になってる。
香枝も少し遠くの短大に進学することになっている。
「うん、どした?」
俺が返事をしたら、香枝は俺の前に座った。
「奏、今までありがとう」
香枝は目を合わせずに言った。
俺は何でお礼を言われているのか分からない。