気づいてよ…
「長瀬さん、お世話になりました!」
門の前で改めて御礼を言った。
「何言ってるの…ここは奏くんと美都ちゃんの第2の家なんだから」
俺は“桜の家”の意味が理解できた気がした。
「さ、早く行きなさい!美都ちゃんが待ってるんでしょ?お父さんに報告に行くんでしょ?」
「はい!じゃあ…また!」
俺は笑顔で言って歩きだした。
今日は美都と一緒に父さんに会いに行く。
今晩は美都の家に泊めてもらって明日俺の家に入る。
父さんに会うのはあの大会以来。
しかも走る前に少し話しただけ。
今父さんがどんな状況なのか、あの時どんな状況だったのかすら知らない。