気づいてよ…
「奏は…嬉しくない?」
ずっと黙っている俺の顔を父さんが覗きこんだ。
「…嬉しい。すごく嬉しい。夢じゃないよな?」
「何を言ってるんだ…当たり前だろ?」
父さんはまた俺の頭を撫でた。
「それで、弟が来月からこっちに転勤になったらしい。俺もまだ本調子じゃないし、弟家族に一緒にあの家に住んでもらって世話になるって話が出てるんだけど…」
父さんは遠慮気味に言った。
俺たちの気持ちを考えてるんだと思う。
でも、そんなこと心配しなくて良い。
「父さんがしたいようにして?でも、春休み中は俺もあの家にいても良い?」
久しぶりに父さんと生活したいんだ。