気づいてよ…
玄関を出た俺の耳に入ってきたのは、父さんの声。
父さんは美羽の母さんと話していた。
買い物袋を持ってないってことは…ずっと話してたのか!?
「あらぁ…奏くん?なんだか大人っぽくなったんじゃない?」
おばさんの笑顔は変わっていない。
そりゃあ、2年では変わらないだろうけど。
「おー!」
父さんまで嬉しそうに手を挙げてるけど…。
「おばさん、お久しぶりです。父さん…買い物は?」
俺が言うと、“しまった”って顔をした父さん。
「夕飯どうすんだよ…」
この辺りにはスーパーがない。
自転車で片道30分ぐらいかかる。