気づいてよ…
「…奏くん?」
梨乃が力ずくで美羽を動かして、俺と美都を中に入れてくれた。
梨乃と美都は先にリビングに向かって、俺と美羽は玄関に座っている。
さっきまでぼーっとしていた美羽は、やっと言葉を発した。
「うん…久しぶり」
「お久しぶりです」
会話がぎこちない。
俺は違和感を感じた。
「奏くん…梨乃は夢を叶えました。今は、私たちが通っていた高校の2年生です」
少し俯いて話す美羽。
泣いてるのかと思うくらいに美羽の声は震えていた。