気づいてよ…
病院
新学期が始まって初めての土曜日。
俺と美都はバスにのって病院に向かっている。
もちろん父さんの見舞いのため。
美都の手には父さんが好きな煎餅の箱が握られている。
俺も美都も父さんと一緒で煎餅が大好き。
少しくらい湿っていても、チンして食べる。
「少し酔っちゃった…」
車に酔いやすい美都は、病院の前でバスを降りると座り込んでしまった。
俺は美都を立たせて近くのベンチに座らせた。
「これ飲めよ」
リュックに入れていたペットボトルの水を渡した。
こんなこともあろうかと持ってきたんだ。