気づいてよ…
父さんは俺たちの姿を見てびっくりしている。
「わざわざ来てくれたのか?」
“わざわざ”って言葉を使った父さん。
何だか悲しくなってしまう。
「最近忙しかったんだけど、今日は時間ができたから」
美都がそう言いながら窓を開けると、気持ちの良い風が入ってきた。
「そうか…2人とも進級おめでとう」
俺たちは嬉しくなった。
入院していてもちゃんと覚えててくれた父さん。
それだけで十分なんだ。
「俺は今年も美羽と同じクラスだよ!」
父さんは美羽のことも良く知ってる。
昔は一緒に遊んでいたから。