気づいてよ…
「母さんはな?手術代のために働いてるんだ」
俺と美都は顔を見合わせた。
母さんから“手術”って言葉を聞いたことがなかったから。
「でも、もう良いよ。家族を辛い目に遭わせるためになんて受けたくない」
父さんは今にも泣きそうな顔をしている。
「母さんに伝えてくれるか?父さんは手術を受けないから安心してって」
俺と美都の顔をかわるがわる見て言った父さん。
何言ってんだよ…。
そんなこと言うなよ。
美都の目には涙が溜まっている。
「父さん!何でそんなこと」
「母さんに伝えろ!…良いな?」