気づいてよ…
一瞬だけど、父さんが怒鳴った。
今まで父さんが怒鳴るのなんか見たことない。
美都の目からはとうとう涙が落ちた。
「本気?」
消えてしまいそうな美都の声。
「あぁ…本気だ」
目を合わせない父さん。
嘘をついてるんだ。
いつもそうだった。
俺たちを安心させようと嘘をつく父さんは、目を合わせなかった。
「嘘だろ?目を合わせて言ってよ」
すがるように言った俺。
「本気だ」
信じたくない。
でも、今父さんは俺の目をしっかり見て言った。