気づいてよ…
言葉も出ない。
“母さんに伝えろ”?
ふざけるなよ…。
言えるかよ。
母さんは人が変わってしまうほど、父さんのために働いてるのに。
何でそんなことが言えるんだよ。
言い返したいのに、力が抜けて何も言えない。
「言わないから…私は言えないから」
美都は泣きながらそう言って、出ていってしまった。
「父さん…本気なんだろ?だったら何で泣きそうなんだ?」
本気だったらそんな顔しないだろ?
「父さん、俺は夢を見るんだ。毎日同じ夢を見る」
俺は父さんに夢の内容を話した。