気づいてよ…



父さんは俺の話を目を閉じて聞いていた。


「正夢にはなってほしくないんだ」


話の最後に俺はこう言った。


少しでも父さんに俺の気持ちを伝えたくて。


「ごめんな?でも、どうするべきか分からない」


父さんはこんなに弱かったっけ。


こんなにも頼りなかったっけ。


全部病気のせいだ。


病気が父さんを弱くしているんだ。


「俺も母さんには言えない。煎餅食べろよ?また来るから」


「…ありがとう」


俺も病室から出た。


美都が行った場所なら見当がつく。



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