罪づくり【TABOO】
 店長が目を閉じたまま微笑んだ。
 これも反則。私が今までどんな気持ちで店長を見てきたと思っているんですか。
 安心しきって眠っているかのような表情に、ふいに店長の前髪に触れてみたいと思った。

「眠ったんですか?店長」

 返事はない。寝ちゃったのかな。それなら髪に触れても気付かないかな。触れたい情動に駆られて、手を伸ばす。

「触れたら俺の忍耐も限界だぞ」

 目を閉じたまま、店長が言った。驚いて手を止めると、目を開けた店長が私を見上げた。
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