たっぷりのカフェラテをあなたと

 浩介とはあれから会っていない。
 たまに“暇だから会わない?”っていう誘いがあったけど……“ちょっと行くわ”っていうには遠すぎる場所だから、“今は忙しい”と言って断っていた。

 だいたい……暇なら自分が私に会いにくればいいのだ。
 その当たり前の事を、彼はしようとしない。

(もう私の事が好きなら浩介が会いに来なさいよね!)

 健吾さんの存在が私の中で大きくなっていて……浩介の事が少しだけ薄らいだ。

 そのせいか、ある日私はちょっとお酒が入った日……健吾さんが困るような事をしてしまった。

「ねぇ、私何だか歌いたい。カラオケに行こう」

 週末デートみたいに居酒屋で会って数時間楽しく会話をした。

 いつもはこれでおひらきの段取り。

 でも何故かこの日はそのまま別れるのが寂しくて……私は健吾さんをカラオケに誘った。
 今まで二人きりになるシチュエーションはなるべくとらなかったんだけど、この日はもっと一緒にいたいという気持ちが勝ってしまった。
< 24 / 57 >

この作品をシェア

pagetop