たっぷりのカフェラテをあなたと
「いいけど、僕、音痴だよ?」
「いいの、いいの、気持ちよく歌えればそれでいいの!」
ちょっと強引なぐらいの勢いで私は健吾さんを引っ張るようにしてカラオケに入った。
薄暗い明かりの中、画面にはアーティストが入れ替わり立ち代わり何かをCMしている。
頼んだソフトドリンクもきて、さて歌おうかという段階になっても私たちは何故か動かずに互いを見つめていた。
「えと……歌、どうする?」
「絵里ちゃんの好きなのを歌いなよ、僕は聞いてるから」
こう言われてしまうと、無理に誘ったのが悪かったかな……と後悔してしまう。
マイクを手に曲を選ぼうとしない私を、健吾さんは何かを覚悟するかのような表情で見た。
「健吾さん?」
「絵里ちゃん……君さ、僕をちょっと信用しすぎだよ」
そう言った健吾さんが突然男性の色香を漂わせたのを感じて、私はドキリとしてしまった。
「君の中には……悪魔と呼ぶほど魅力的な男性がまだいるだろう?」
「うん」
「僕の心にもそういう存在がいる……」
「……うん」
健吾さんの言葉を聞いて、何故か私の胸がズキリと痛くなった。
彼の心の奥底にずっと居座って離れない悪魔……。
それが自分の姉だという事が私たちの心情を余計複雑にしている。
「いいの、いいの、気持ちよく歌えればそれでいいの!」
ちょっと強引なぐらいの勢いで私は健吾さんを引っ張るようにしてカラオケに入った。
薄暗い明かりの中、画面にはアーティストが入れ替わり立ち代わり何かをCMしている。
頼んだソフトドリンクもきて、さて歌おうかという段階になっても私たちは何故か動かずに互いを見つめていた。
「えと……歌、どうする?」
「絵里ちゃんの好きなのを歌いなよ、僕は聞いてるから」
こう言われてしまうと、無理に誘ったのが悪かったかな……と後悔してしまう。
マイクを手に曲を選ぼうとしない私を、健吾さんは何かを覚悟するかのような表情で見た。
「健吾さん?」
「絵里ちゃん……君さ、僕をちょっと信用しすぎだよ」
そう言った健吾さんが突然男性の色香を漂わせたのを感じて、私はドキリとしてしまった。
「君の中には……悪魔と呼ぶほど魅力的な男性がまだいるだろう?」
「うん」
「僕の心にもそういう存在がいる……」
「……うん」
健吾さんの言葉を聞いて、何故か私の胸がズキリと痛くなった。
彼の心の奥底にずっと居座って離れない悪魔……。
それが自分の姉だという事が私たちの心情を余計複雑にしている。