たっぷりのカフェラテをあなたと
　老けた女は嫌い、太った女は嫌い、浩介は私の体を褒めるのと同時にマイナスの言葉をよく使っていた。
　付き合い始めの頃はさほど気にしていなかったけど、３０歳になった時、ふと「太ったり、このまま年を重ねていったら、浩介は確実に自分から去ってしまう」そういう恐怖に襲われた。

　それからだ……自分の価値を少しずつ低く見るようになったのは。

　エステティシャンとして苦いコーヒーを飲み続ける模範生でいたい。その気持ちも強かったけど、一番はやっぱり浩介に嫌われたくない一心だった。
　きっと、望まないと言い聞かせつつ……私は彼との未来を少しだけ夢見ていたのかもしれない。

「……」

　鳴らなくなった浩介専用の着信音。あの音を聞いて心を躍らせていた私。
　もう終わりだと自分に言い聞かせたばかりなのに、もしや自分は何か早まった事をしてしまったんじゃないかと不安になる。

　弱い自分。

　別にアラサーを超えたって、女として十分光っている人はたくさんいる。
　逆に年齢を重ねたおかげで若さでは補えない美しさを持っている人の方がより綺麗だと思う。

　でも、今の自分にそういうエネルギーはあるだろうか。
　不安だけが先に立ち、守りに入っている。


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