たっぷりのカフェラテをあなたと
コーヒーに少しだけミルクを入れるようになった私。
それを美味しく飲めるのは健吾さんのおかげだ。
ミルクを少し入れたぐらいで太ったりしないし、女性は少しふっくらしているぐらいが魅力的なのだと繰り返し言ってくれた。
自分を縛っていた呪縛が一つ解けた瞬間だった。
『ミルクを入れたコーヒーを飲んでもいい』
こんな小さな事だったけど、エステティシャンとして、浩介の彼女として、絶対にカフェラテは飲んではいけないものだった。
だから、ミルクのまろやかな甘みが口に広がる時、表現できない幸せを感じるのだ。
「医者って狙う女多いと思うし……相当気を付けた方がいいよ」
「……うん」
健吾さんに限っては絶対に私を無意味に傷つけるような事はしないはずだ。
その確信はあったけど……何といっても私は男を見る目が無い。
もし健吾さんに別の女性がいたら。
そんな事を考えるだけで、目の前が真っ暗になりそうになっている自分が不思議だった。
つい先日まで、こんなに彼を異性として意識していたわけじゃないのに……。