たっぷりのカフェラテをあなたと
「お父さんとは……」
「あの人とは会ってません!」
健吾さんが言いかけた言葉を聞いて、私は即座に強い口調で否定していた。
「……絵里ちゃん」
「彼は母を捨てたんです。別の女を選んで……私たちを捨てて……自分の欲望を果たして安穏と生きてるんです。今更顔なんか見たくないです」
そう。
父は、私がまだ小学生に入ったばかりの頃に、母と離婚した。
映画監督をしている父は、そのころヒットした映画に主演した女優と不倫の末に母を捨て……その女優と再婚したのだ。
芸術家っていうのはそういうものだとか、綺麗な女性を毎日見ている人だから仕方ないとか……もっともらしい事を言って慰められても私には何一つ納得いく言葉はなかった。
「そうか……絵里ちゃんの心にはお父さんがとても強く根付いてるんだね」
「え……?」
私はこれ以上憎い存在は無いと思えている父を、”強く根付いている”なんていうふうに解釈された事に驚く。
「君のお姉さんはお父さんを尊敬してると言ってた。そこにはね……どこかもう他人だから関係ない人だっていうドライな意味合いを感じたよ」
「……」
「あの人とは会ってません!」
健吾さんが言いかけた言葉を聞いて、私は即座に強い口調で否定していた。
「……絵里ちゃん」
「彼は母を捨てたんです。別の女を選んで……私たちを捨てて……自分の欲望を果たして安穏と生きてるんです。今更顔なんか見たくないです」
そう。
父は、私がまだ小学生に入ったばかりの頃に、母と離婚した。
映画監督をしている父は、そのころヒットした映画に主演した女優と不倫の末に母を捨て……その女優と再婚したのだ。
芸術家っていうのはそういうものだとか、綺麗な女性を毎日見ている人だから仕方ないとか……もっともらしい事を言って慰められても私には何一つ納得いく言葉はなかった。
「そうか……絵里ちゃんの心にはお父さんがとても強く根付いてるんだね」
「え……?」
私はこれ以上憎い存在は無いと思えている父を、”強く根付いている”なんていうふうに解釈された事に驚く。
「君のお姉さんはお父さんを尊敬してると言ってた。そこにはね……どこかもう他人だから関係ない人だっていうドライな意味合いを感じたよ」
「……」