たっぷりのカフェラテをあなたと
 確かに姉はドライだ。
 自分が一番可愛くて、自分が幸せになる道をまっしぐらに進む人だ。

 だから、自分を不幸にするような存在は必要ないのだ。

 父という存在すら、彼女は『過去』に流せる。

「絵里ちゃんは一人で色々背負い込み過ぎてる……誰かを憎むエネルギーは結局自分を嫌いになるエネルギーになって返ってくるから」

 私が自分に完璧なものを求める気持ちを健吾さんは何故か見抜いているようで、居心地が悪くなってきた。
 外見の良さにこだわり、仕事でのプロフェッショナルさを目指し、誰からも素敵な人間だと思われたい……そう思ってきた。

 でも、浩介との関係で自分に対する完璧さは崩れてしまった。

 だから、だからこそ、今……健吾さんに言われる言葉は妙に応える。
 それでも……私は姉のようには生きられないし。
 父に対して”尊敬している”なんて口が裂けても言えない。

「自分を好きになるって……他人を傷つけて突き進む事なんですか?」

 健吾さんに当たっても仕方ないのに、こう言わずにはいられなかった。

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