心まで抱きしめて
「ちょ、ちょっと……」


離して、そう言葉にしようと思ったのに、私の身体に添う彼の身体がこう、なんかしっくりきてしまって、気持ちがいい。


「……ん」


思わず零れ落ちた吐息に反応するように、彼の腕が強く締まる。


ちょうど胸下に納まる腕に心臓の音が響きそうで、それを思うとさらにドキドキが増した。


「ずっと、課長の事、見てたんです。課長、がんばりすぎですよ」


耳もとに感じる息遣いに気が変になりそう。


「お願い、もう…離して」


酔いが回っているからなのか、この状態からの緊張なのか、


自分の身体じゃないみたいにフワフワする。
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