愛罪
「担当ナースの患者だった方にお伺いしましたところ、二条さんは良太さんの担当ナースとご友人だったそうで。仲良く話をしている姿を何度かお見かけしたと。担当ナースの同僚の方によれば、良太さんが亡くなられてから仲が良くなったようだと…」
ーー亡くなられてから?
恐らく後藤さんもそこが引っかかるのだろう、言うときにぴくりと眉頭が反応していた。
相変わらず、わかりやすい人だ。
もう少し曖昧か、または何も出てこなかったと言われることを覚悟していた僕は、新たに増えた彼女の謎の行動に頭を悩ませる。
兄が亡くなり、どうして担当のナースと仲良くなったのか。
三人の間に大きな友情が芽生え、兄の分まで生きようとの表れだという可能性もあっただろうけれど、ナースはこの世界を捨てることを選んだのだ。
もっと他の所以があるのかもしれない。
そう、例えば…。
兄を救って貰えなかった腹いせに、真依子はナースを自殺へ追いやるため近づいたーーとか。
考えすぎかもしれないけれど、彼女なら十分にありうる。
そう、真依子には容易いことだろう。
「しかし、亡くなられた当初の調査では二条さんはナースの自殺に関わっていないと調査結果が出ておりました」
黙ったままの僕に、後藤さんが言う。
けれども僕は、真依子は黒だと確信していた。