愛罪
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外は、眩しいほどに晴れ渡っていた。
いつもならその眩しさにはしゃぐ瑠海も、今日ばかりは無言だ。
家を出て自然と繋いだ手も、何だか少しぎこちない。
わかっているんだ。
僕が悪いんだってことくらい。
それでも、どうしても謝る気にはなれなかった。
幼い妹相手に何を、と思われても仕方ないだろうけれど、全てを消し去りたいくらい僕は何か大切なものを失いかけていた。
「いつもすみません。よろしくお願いします」
あからさまに違う僕たちの間の空気に気づいてか、永瀬さんは少し不安気に眉を寄せて頷いた。
黒のパンツスーツにポニーテール。
それだけで真依子がちらついたのだから、相当僕は参っているらしい。
一度も僕を見なかった瑠海を永瀬さんに預け、廊下を歩いていく背中を見送る。
祖母の元に返してやった方が、彼女は幸せなんじゃないだろうか。
そんな自分勝手なことを考えてしまう。
「そらくん、どうかなさいましたか」
ぽんと優しい力で背中を叩かれたかと思うと、隣でふたりの背中を見ていた後藤さんが呟いた。
ちらりと隣を見ると、彼は見慣れた扉のドアノブを捻って僕に微笑を向ける。