愛罪
「好きだよ。でも、嫌いでもある」
辿りついた答えは、嘘だと否定出来ない本心だった。
瑠海を可愛がってくれて、仲良くしてくれる真依子は大好きだ。
何かを隠して、それでも僕に関わり、そして困らせる真依子は大嫌いだ。
好きと嫌いは、本当に紙一重だと思った。
好きだということは嫌いなところも含めての感情だと思うし、嫌いだと言えるほど相手を知り意識しているということは好きも同然だ。
だからあながち間違ってはいない言葉を返すと、真依子は些か驚いた様子で僕を見た。
「…それが、そらの答え?」
「うん」
「そう…」
大きな猫目が、動揺に揺れた。
ーーように見えた。
どうやら、僕からの答えは期待外れだったらしい。
落胆するようにゆっくりと伏せられた瞳が、そう物語っている。
「言いたいことは、それだけなの」
緩くカーブした長い睫毛が影を作る魅力的な目許を見ながら聞くと、真依子は微かに首を横に振った。
僕の推測は間違っていたのか、彼女にはまだ言いたいことが残っているらしい。