憑モノ落トシ
日向君は幼い頃から、幽霊に憑りつかれたりする事が多い。
感受性が豊かなのかとか、理由は解らないけれど、そういう体質なのだ。
度々人が変わったようになったり、
人間ではない生き物のような仕草をするようになったりしてしまう。
普通の人が怖がるのは仕方がない事だと思う。
そして彼の名字が狐崎(こざき)という事から『狐憑き』と裏で呼ばれてしまっている事もまた、仕方がないとも。
昨日もまた、妙な目にあったばかりの彼は日付感覚が怪しい。
そういう日は、いつも忘れ物が多いから私も気を付ける事にしている。
「大丈夫大丈夫!…………多分?」
最後に小さく、遠くを見つめながら付け足す彼に不安感を覚える。