憑モノ落トシ
忘れていたら、その時はその時か。
半ば諦めをつけつつ、学校へと向けて歩き出す。
隣を日向君が喋りながらついてくる。
これが、私のいつもの通学風景。
視線を少し上へ向ければ、色素の抜かれた金色の髪がキラキラと太陽に透けて見えた。
彼の髪を例の獣のようだと例える人がいるけれど、私は違うと思う。
それよりも、彼の名前にピッタリだと感じる。
特異な体質さえなければ、日の当たる場所が一番似合う場所なのに。
性格も明るいし、そう思う。
「ね、これ見てよ」
笑顔を浮かべながら、唐突に彼が私に向けてきたのは携帯の画面だった。
そこに表示されていたのは、どこかの掲示板の書き込み。
……前言撤回。
言われるままに読んでみると、それは異界へと繋げるという方法が書かれていた。