憑モノ落トシ



「あー、千代ちゃんゴメン」

廊下の途中で日向君が立ち止った。


「どうしたの?」

「トイレ行きたい……」


先に行ってて、と普通なら言うところ。

彼だって普段ならそうする。


けれど、今授業に間に合わせるためには、一番近いトイレを使用する必要があって。


そしてそこには、とある噂がある。


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