はなおの縁ー双葉編ー
彼は、残りの手ぬぐいをあたしの手に巻きつけ、

「とりあえず、こうしておくから、帰ったら消毒しなね。」

と、結んでくれた。

「はい、あの、ありがとうございました。」

手ぬぐいは、緩まず、痛くもなく、調度良く締め付けてある。

「じゃあ、僕はこれで。」

そう言いながら、行く道をそのまま行こうとしている彼を

「ま、待って!!」

と思わず、瞬間的につかまえてしまった。

驚いている彼の顔を見て、いくらかあたふたしてしまったけれど、

「あの、何もお礼をせずにお別れするのは申し訳なくて。」

本当に申し訳なくて引き止めてしまった。そんなあたしにかれはあっさりと、

「いいよ、礼なんて。」

いくらか面倒くさそうに答える。

「でも、せめてお名前だけでも。」

、、、、赤の他人にこんなに食い下がるなんて、あたしも初めてだ。
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