はなおの縁ー双葉編ー
其の壱 出会い
それは、梅雨に入り始める前の、ある雨の日のことだった。
その日は朝から雨が降り続け、下校時刻を過ぎても一向に止む気配がなかった。
私、沢 夏葉(さわ なつは)は帝都女学校の3年生として、1学期の中間考査を翌月に控えながらも、この一番好きな季節を内心、非常に楽しみにしていた。
花が終わりを知るように散り始める中に、鮮やかな若葉を見つけたとき、言いようのない、興奮を感じて、ひとりにんまりしていたりする。
緑が萌え出すこの躍動感を、伸び上がる様をみて、何度、心に、体に元気をもらったことか。
そして、その緑は雨に濡れれば、更に鮮やかになるのだ。
単に、葉に付いた汚れが雨に流されるだけのことなのだが、雨に降られただけで、舌打ちする人間があるのに、その鮮やかな様はなんと対照的なものなのだろうと、いつも感じてしまう。
、、、、と、こんなことを言っているあたしも、今日の雨にはちょっとうんざりしている。
その日は朝から雨が降り続け、下校時刻を過ぎても一向に止む気配がなかった。
私、沢 夏葉(さわ なつは)は帝都女学校の3年生として、1学期の中間考査を翌月に控えながらも、この一番好きな季節を内心、非常に楽しみにしていた。
花が終わりを知るように散り始める中に、鮮やかな若葉を見つけたとき、言いようのない、興奮を感じて、ひとりにんまりしていたりする。
緑が萌え出すこの躍動感を、伸び上がる様をみて、何度、心に、体に元気をもらったことか。
そして、その緑は雨に濡れれば、更に鮮やかになるのだ。
単に、葉に付いた汚れが雨に流されるだけのことなのだが、雨に降られただけで、舌打ちする人間があるのに、その鮮やかな様はなんと対照的なものなのだろうと、いつも感じてしまう。
、、、、と、こんなことを言っているあたしも、今日の雨にはちょっとうんざりしている。