はなおの縁ー双葉編ー
「う~ん。みんながみんなあるわけじゃないよ。ただ、僕が所属しているところの教授は抜き打ちが大好きなのでね。それにつきあっているんだ。」

そういう彼の額にはうっすらと汗がにじんでいる。

「大分待たれたんですか?」

「まあ、少しね。それより、腹減りませんか?僕、実は昼飯まだなんです。」

「あたしも、今日は外で食べてくると母に言ってきたのでお昼はまだなんです。」

と先週のドタキャンから湧いた作り話を彼に聞かせた。

あたしの話はなんだかすごく彼にウケたらしく、声を上げて笑っている。

「ははは、それはいいですね。じゃあ、今日はあちこち僕に付き合ってもらえるんですか?」

「はい、今日はあの日のお礼がしたくて来たのですから、何でもしますよ?」

急に彼はまじめな顔をしてあたしを見つめた。

その視線にどきり、とした。
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