はなおの縁ー双葉編ー
「何でもなんて、言ってしまっていいのかなあ?そんなこと言ったら、何でもお願いしちゃうけど。」

そう言う、彼の目はいたずらに輝いていて、にやりと笑みをこぼしている。

「えっ?」

だいぶ焦った顔をしていたんだと思う。

彼はゲラゲラと大笑いして、

「大丈夫ですよ。、、、くっくっく。」

そう言って、あたしの背中をポンとたたいた。

そんな動作にもあたしはドキドキが止まらない。

「僕の下宿の近くにきぬたやという店があるんですけど、飯がすこぶるうまいんです。今日はそこで食べませんか?」

その店には実は一度も入ったことがなかった。

あの店は帝大生のなじみの店で、女学生がそうやすやすと入れるところではなかった。

「でも、あたしみたいな女学生が入って目立ちませんか?」

ちょっと心配になって聞いてみた。

うちの学校は異性交遊を禁じているからだ。
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