はなおの縁ー双葉編ー
「あいよ、今持って行くからさ、上へお上がりよ。これ、正吉!正吉!」

と言われて呼ばれたのは、いつぞやのあの男の子だった。

「え、あんた、ここの子なの?」

思わず聞いたら、にやりと笑って

「うん、そうだよ!おねえちゃん、この前はありがとう。」

と、またお礼を言ってくる。いい子なのね。

「正吉、兄さんたちを部屋へ案内しておやり。」

と女将さんが指図する。

「わかってらい!兄ちゃん、おねえちゃん、どうぞ!」

と先頭を取って案内してくれた。

正吉という子が下がってから、

「今日はちょっと暑いね。障子を開けよう。」

と言って障子を開けてくれた。

開けた途端、新鮮な空気が中に入り込んでくる。
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