はなおの縁ー双葉編ー
「もう、頭の中が真っ白になってしまって。そうしたら、佐脇さんが助(す)けてくだすったでしょう?このこともびっくりだったんです。」

「え?」

彼が急に真面目な顔を向ける。

「あたしも、前からどんな人なのかと思っていたから。」

と思い切りにっこりしたつもりだったんだけど。

「期待して、いいのかな。」

ぽそりと言った。

「はい?」

それに慌てたように手を振りながら、

「いや、何でもない。まあ、これもなにかの縁だからこれからもよろしく。」

と、彼は頭を下げた。あたしもつられて、

「はい、よろしくお願いします。」

と頭を下げてしまった。

見合わせた目が笑っていた。

< 28 / 92 >

この作品をシェア

pagetop