はなおの縁ー双葉編ー

「そうですね、、、。あの辺まで行けば、ばったり会っても言い訳をつくれるし。」

「お参りに来ています、と言うね。」

と少しいじわるに言う。

「本当なら、そんな言い訳する必要ないし、したくないんだけど。」

と窓の外を見た。

「よし！さあ、行きましょうか？時間がもったいない。」

と彼は手を差し出した。

あたしは、驚いて少し迷っていたが、素直にその手を受けた。

階段を下りて、下の階に移るとさっきあんなにいた人たちは半分以下に減っていた。

学生は相変わらずいて、私たち二人を好奇の目で見ていた。

中にはひそひそ言い合う人もいたし、話しかけてくる人もいた。

階段を下りる前に彼はあたしにこう言った。

「まわりの奴らは気にしないでいいよ。何か言ってくる奴もいるだろうけど、君は何も言わなくていい。大方は俺に対するやっかみだから。、、、、君は僕が守るから。」

そう言って握っていた手を更に強く握った。