はなおの縁ー双葉編ー
其の三 二人の過去
ひとつ
「え?」
彼はおどろいてあたしの顔をのぞきこんだ。
「あたしのほんとの父は今の父と兄弟なんです。兄が生まれて3年後にあたしが生まれました。あたしを産んだ母親という人は、産後の肥立ちが悪くてそれ以後寝たり起きたりであたしを3つになるまで育ててくれました。でも」
つとめて明るく済まそうと笑顔で彼を見た。
「とうとう、何かの病気に掛かってあっけなく亡くなってしまった。」
日差しは傾き始め、風向きが変わり、風が頬を撫で始める。
「その後、私の父親という人は後添えを娶ることを決めたんだそうです。まだ若かったということもあるし、あちらの家が沢家の本家であるため、周りがやもめを許さなかったというのもあったらしいです。」
彼は一言も口を挟むことなく黙って聞いてくれている。
「そして、娶った人には前夫との間に子供があって、自分が入る変わりにあたしを他家へ養女に出すことを結婚の条件としたのです。」
彼はおどろいてあたしの顔をのぞきこんだ。
「あたしのほんとの父は今の父と兄弟なんです。兄が生まれて3年後にあたしが生まれました。あたしを産んだ母親という人は、産後の肥立ちが悪くてそれ以後寝たり起きたりであたしを3つになるまで育ててくれました。でも」
つとめて明るく済まそうと笑顔で彼を見た。
「とうとう、何かの病気に掛かってあっけなく亡くなってしまった。」
日差しは傾き始め、風向きが変わり、風が頬を撫で始める。
「その後、私の父親という人は後添えを娶ることを決めたんだそうです。まだ若かったということもあるし、あちらの家が沢家の本家であるため、周りがやもめを許さなかったというのもあったらしいです。」
彼は一言も口を挟むことなく黙って聞いてくれている。
「そして、娶った人には前夫との間に子供があって、自分が入る変わりにあたしを他家へ養女に出すことを結婚の条件としたのです。」