はなおの縁ー双葉編ー
「夏葉さん。」

えっ?

「今度はいつ会いましょうか?」

彼はひどく穏やかに話しかける。

あたしの中の振り子がすうっと落ち着き始める。

どうしてこんなに彼に敏感になってしまったのか。

、、、、、この時のあたしはまだわかっていない。

彼を好きになってしまっていることに気づいたのは、これからずっと後のことだ。

「手始めに、来週の土曜はどうかな?土曜は半ドンだから時間を作りやすいでしょ?」

と聞いてきた。

土曜日、、、、。

あっ、その日は、

「ごめんなさい。実はその日は中間考査の直前なので試験勉強しないと。」

「試験はいつ?」

と乗り出して聞いてきた。

「さ来週の月、火、水です。」

あたしも少し顔を寄せた。

彼が近くなる。

「なので、来週は勉強しないと。特に数学、物理は復習をしっかりしたいので、よく目を通さないと。」

ちょっとため息がでた。
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