はなおの縁ー双葉編ー
「さっき、、、、、どうして?」

どうしても聞きたかった。

なかなか口を開かない彼に、再度問いただしてみれば、

「、、、、忘れてくれていいよ。」

その言葉に思わず、

「忘れられるわけないじゃない。」

と、彼の目を見た。

彼も見返してくる。

「こんなに気になっているのに、忘れられるわけないでしょ?」

彼の態度に苛立って、口の利き方が荒くなってしまう。

彼に近づいて、腕を掴んだ。

「だって」

その続きを言おうとしたとき、彼があたしの唇に指を押し当てた。

「この話は試験が終わってからにしよう。な?」

どうしてそんなことを言うのかわからなかった。

あのときのあたしにとってはすごく大事なことに思えたからだ。

「さ、お帰り。僕も帰るから。」

彼はあたしからすっと離れ、闇の中に消えていった。

あたしは、その後姿を呆然と見詰めるしかできなかった。

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