はなおの縁ー双葉編ー
「明日、一日は息抜きに使おうよ。気持ちを切り替えて、あさっての試験に臨んだほうがよくないか?」

確かに、そうかもしれない。

実を言えば、毎日勉強で煮詰まっていたのは事実だった。

「そうですね、明日は家でゆっくりしようかしら。」

でも、その前に。

「あたし、佐脇さんにまた世話になっていて、このままなりっぱなしは何だかいやなんです。何か、お礼をさせてもらえませんか?」

それを聞いて、彼は腕組をして、

「う~ん、礼はいいから、お願いを二、三聞いてもらえませんか?」

あたしは偉く安請け合いをして、

「あたしにできることならなんでもしますよ?」

と言ってしまった。

「何でもいいの?」

念を押して聞いてくる。

「はい、どんなことですか?」

と、なんとなく居住まいを正して聞いた。
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