はなおの縁ー双葉編ー
「夏葉ちゃん、またあいつに聞かれたら、ありのままを話していいよ。何も俺たちは悪いことなんかしてないんだし。機会があれば、俺からも林太郎に話しておくから。」

そういう彼の目は強い目をしていた。

兄との信頼から出るものなのかそれとも、、、。

「さ、行こうか。今日はちょっとばかり遠いからぐずぐずしてると日が暮れる。」

そう言って、歩き出した。

あたしも並んで歩き出す。

彼の歩幅は大きいので知らず知らずのうちにあたしの方が早足になってしまう。

始めのうちはちょっと待って、と声を掛けていたけれど、彼もわかってきたのか少しゆっくり歩いてくれるようになった。

「君、神田町へは行ったことある?」

「いいえ、今日が初めてです。」

「あの町には本屋がすこぶるたくさんあるんだ。時々、行くんだが今日は頼んでおいた本が届いたので取りに行くんだ。で、君にも教えておこうと思って。」

「どうして?」

「君は洋書を読むだろ?新品は高くて手に入らないだろうけど、古本屋もたくさんあるから教えておこうと思ってさ。どう?」

と、あたしの顔を見た。
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