はなおの縁ー双葉編ー
どこからか遠くで雷が鳴り出した。

「あっ、雷!」おもわず足が止まる。

「え、夏葉ちゃん、どうしたの?、、、あ、雷、こわいのか?」

と茶化す。

「はい、実はきらいなんです。家の中では大丈夫なんですけど、外では、、、。」

そう言っている間にも雷はしだいに大きくなっていく気配をしている。

「じゃあ、急がないと。雨も」

そう言った途端に大粒の雨がボタ、ボタ、と落ち始めた。

「うわ、まずいな。まだ店まで道のりがあるから、あ、あそこへひとまず逃げ込もう。」

と、彼が指差したところは雨戸が閉めてある店の前だった。

軒が深くて雨宿りには丁度良かった。

軒下に入ったその時、バケツの水をひっくり返したような雨が降ってきた。
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