TABOO† 書架にひそむ罠
書架につかまって、ぐったりした体を何とか支える私を、彼は後ろからそっと抱きかかえた。



(ありがとう……)



耳元で囁かれた声は、吐息混じりの甘い声。


背筋がゾクゾクするような――



(僕のために、罪を犯してくれて)



――え?


驚いて振り返る私に、彼はあでやかに微笑みかけた。



(長かったんだ――すごく、ね。


これでやっと僕は――)




 * *
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