PureWhite
「おい。いいかげんにしろ!」
僕が怒鳴ると、女は消え入りそうな声で
「服が…」
と呟いた。
その時になって気が付いた。
女は裸だ。
とにかくシーツを首までたくし上げ
壁にへばりついている。
 
ふざけるなよ。
「服はっ!?」
僕の剣幕に、
女はただ首を横に振るばかりだ。
「どこに隠したんだよっ!」
今、家中を
ねこ捜索で見て周ったばっかりだ。
そんなもの、どこにもなかった。
ふざけるなよ。
僕は乱暴に毛布を剥いだ。
そこにもない。
女は、潤んだ目で僕を睨み付ける。
ふざけるなよ。

クローゼットから1番古い
スウェットの上下を出して
女に投げつける。
「それを着て、今すぐ出ていけ!」
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