PureWhite
とにかく、コーヒーを飲もう。
カップにコーヒーを注ぐと
寝室のドアが開いた。

だぶだぶのスゥエットを着た女が言った。
「この服は…」
「やる。返さなくていい。
オークションとか出すなよ。
帰ったら、すぐ捨てろ。」

「帰ったら…」
おうむ返しに言いながら、
女の顔色が急速に変わった。
そうか。
僕はジャケットのポケットから
くしゃくしゃの5千円札を
女の手に握らせた。
「もうこれで、いいだろ。
ほんと、もう、帰れ。」
いい加減、僕も泣きたいくらいだ。

せっかくツアーを大成功に終わらせて
いい気分に浸る間もなく
とんだ災難だ。
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