PureWhite

「ちょっ、どうやって帰ればいいの？」
女が、漸く正気付いた風に言った。
「マンション出て、左にずっと行ったら
地下鉄の入り口があるから。」

「違う。」
「違くねーよ。いい加減にしろ。
靴だったら、適当にどれでも履いてけ。」

「違う。…てか、なんなの？あなた
さっきから！！
ちょっと待ってよ。ど～ゆ～事！？」
逆切れかよ。
「こっちが聞きたいよ。
それを聞かずに、帰してやる
って言ってんだろ！」

「帰してやるって何？
何があったの？
なんで私、ここにいるの？
あなた、何？」
「何の猿芝居だよ！警察呼ぶぞ…」
僕が言う間に、女は
カウンターにあった僕の携帯を
奪った。
「なにをする…」
「警察に電話する！」
は？こっちのセリフだろ！
携帯を取り返そうとすると
「触らないで！」
女が叫んだ。